親などから相続した実家や土地などの不動産。自身は専業主婦で普段は収入がない、あるいはパート収入程度に抑えて「配偶者扶養(夫の扶養)」に入っている場合でも、相続した不動産を売却して利益が出ると、翌年にご主人の扶養から外れてしまうケースがあります。
扶養から外れると、配偶者控除が受けられなくなってご主人の税金が増えたり、ご主人の勤務先の社会保険から外れて自分で国民健康保険料を納める必要が生じたりと、家計に予期せぬ影響を及ぼすことがあります。
本記事では、専業主婦が相続不動産を売却した際に「扶養から外れる仕組み」や「税金の扶養と社会保険の扶養の違い」、そして「扶養から外れないための対策や特例措置」について分かりやすく解説します。
そもそも「ふたつの扶養」の違いを理解する
不動産売却における扶養の問題を整理する上で、まず理解しておきたいのが「税制上の扶養(配偶者控除など)」と「社会保険上の扶養(健康保険・年金)」は全く別の制度であるという点です。
(1)税制上の扶養(所得税・住民税) ご主人の税金(所得税や住民税)計算において「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が適用される制度です。妻の1年間の「合計所得金額」によって控除額が決定されます。
(2)社会保険上の扶養(健康保険・年金) ご主人の会社の健康保険や厚生年金の扶養に入っている状態です。条件を満たしていれば、妻自身の健康保険料や年金保険料(国民年金第3号被保険者)の自己負担が発生しません。
不動産売却で扶養から外れるケースと所得の計算方法
不動産を売却して得たお金は、単なる売却金額そのものではなく、「売却益(譲渡所得)」として計算されます。
譲渡所得は以下の計算式で算出します。
譲渡所得 = 売却金額 −(取得費 + 譲渡費用)
・取得費:亡くなった親がその不動産を購入した際にかかった代金や建築費(築年数による減価償却を考慮) ・譲渡費用:今回の売却で支払った仲介手数料や印紙代、解体費用など
この計算結果として売却益(プラスの譲渡所得)が発生した場合、その金額が妻の年間所得として合算されます。
(1)税制上の扶養から外れるケース 妻の年間の合計所得金額が48万円(給与収入のみの場合は年収103万円相当)を超えると、ご主人の「配偶者控除」の対象から外れます。所得金額に応じて「配偶者特別控除」に切り替わりますが、譲渡所得が大きくなり妻の合計所得が133万円を超えると、配偶者特別控除の適用も完全に受けることができなくなります。その結果、ご主人の所得税や住民税の負担が増加します。
(2)社会保険上の扶養から外れるケース 社会保険の扶養基準は一般的に「年収130万円未満」とされていますが、不動産売却による「一時的な譲渡所得」を社会保険の収入とみなすかどうかは、ご主人が加入している「健康保険組合(健保組合)」の規約によって判断が分かれます。 ・一時的な売却益であれば継続して扶養に認める健保組合 ・一時的であっても売却益を含めて年収130万円を超えたら一時的に扶養から外す健保組合 このように判断基準が異なるため、売却前にご主人の勤務先の健保組合へ確認しておくことが非常に重要です。仮に社会保険の扶養から外れた場合、一時的に自分で国民健康保険や国民年金に加入して保険料を納める必要があります。
譲渡所得があっても扶養から外れないための「特例措置」と注意点
相続した不動産を売却する際、国税庁が用意している各種「特別控除」を活用することで、譲渡所得を圧縮し、扶養から外れるのを防ぐことができる場合があります。
(1)空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除(被相続人の居住用財産) 相続した実家が一定の要件(昭和51年5月31日以前に建築された旧耐震基準の戸建て、一人暮らしの親が亡くなって空き家になった、耐震改修または解体して売却するなど)を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。この特例を適用して譲渡所得が0円(または48万円以下)になれば、税制上の扶養から外れずに済みます。
(2)相続財産を売却した場合の取得費加算の特例 相続開始から3年10ヶ月以内に相続不動産を売却した場合、支払った相続税の一部を取得費(経費)として加算できる制度です。売却益を減らす効果があります。
注意点:確定申告の必要性 これらの特別控除を適用して所得を0円にする場合でも、必ず「確定申告」を行わなければなりません。確定申告をしないと特例が適用されず、そのまま高額な所得として扱われて扶養から外れてしまうため注意してください。
まとめ:相続不動産を売却する前にプロへ事前相談を
専業主婦の方が相続した不動産を売却する場合、「売却益が出たかどうか」「特別控除が適用できるか」「社会保険の規約はどうなっているか」によって、翌年のご主人の扶養や家計にかかる税金・保険料の負担が大きく変化します。
売却手続きを進めてしまってから焦るのではなく、売却前の段階で売却査定を受け、おおよその売却益や特例の適用可否を把握しておくことが大切です。
当社では、相続した不動産の売却査定はもちろん、提携する税理士と連携した資金計画や扶養に関するアドバイスも承っております。「相続した実家を売ると税金や扶養はどうなる?」とお悩みの方は、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。お客様の状況に合わせた最適な売買・税務プランをご提案いたします。
監修者情報

代表 田村 佳寛(たむら よしひろ)
当社は3代にわたって、大阪府池田市エリアで地域に密着して営業活動を続けてきた不動産会社です。
地域に精通した「知識と人脈」を活かして、お客様の大切な不動産の売却に取り組んでおります。池田市の物件に精通した地元出身の代表自らが行っているからこそ、物件の特性、地域情報、相場、成約事例等について詳しくアドバイスすることが可能です。
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